牛レバ刺しが食べられなくなっても馬レバ刺しが食べられるわけ

2012年の7月に、食品衛生法により生の牛レバーの販売が禁止されました。レバ刺しファンにとっては、とても残念なことです。レバーは栄養価も高く、貧血対策などにも効果があるとも言われて、根強いファンの多い肉です。「もう一度、ぷりぷりとした新鮮なレバ刺しが食べたい!」と念願する人たちの間で、今大人気なのが、馬のレバ刺し。
牛や豚は生で食べることは禁止されていますが、馬はほとんどの部位が「馬刺し」として食べられます。いったいどうして馬刺しは大丈夫なのでしょうか? 実は、馬肉はその特質から、食中毒などのリスクがとても少ない肉なのです。

牛は反芻するけれど、馬はしないから

牛には胃が二つあり、一度食べたものを胃の中に貯めて、口に戻して噛み直すことで消化をしています。反芻(はんすう)して、胃と口との間を食べ物が行きかううちに、O157(腸管出血性大腸菌)などの細菌が繁殖しやすくなります。馬には胃はひとつしかなく反芻はしません。そのため、馬はO157に感染しないのです。

平成11年から22年度にかけて厚生労働省が実施した市販食肉等の検査によっても、馬刺しからはO157は検出されていません。これが、馬のレバ刺しや馬刺しが食べられる大きな理由のひとつです。

細菌性食中毒も起こしにくい

厚生労働省の調査によれば、馬刺しは細菌性食中毒の原因となるカンピロバクターについても、全く検出されませんでした。諸外国の調査でも、馬肉はリスクが低いことが判明しています。これも馬肉が生でも食べられる理由です。
馬肉は400年以上前から食されてきた伝統的な食材です。長年にわたり生食をしてもお腹を壊したりしないことが、経験的に知られてきました。また、馬刺しの生産・卸メーカーでは、無菌の工場内での一貫生産や真空パックなど、馬肉の「生」を大切にするため長年にわたり努力も続けられてきています。生産者が設備や作業マニュアル向上して、高いレベルの安全性を確保していることも、馬刺しが生で食べられる大きな理由です。

尚、牛などに感染する「口蹄疫」(こうていえき)は、馬には感染しません。口蹄疫は、馬や豚など蹄(ひづめ)の数が偶数の「偶蹄類」には感染しますが、馬のように蹄が奇数の「奇蹄類」には感染しないことが知られています。これも、馬肉の安全性を高めています。

馬刺しは、O157やカンピロバクターに感染しにくい安全な食肉です。卸メーカーが長年にわたり、衛生面での努力を続けてきたこともあり、馬肉は生で食べられます。食肉としては、唯一、馬肉だけが「レバ刺し」を味わえる肉です。